世界的な港湾混雑による物流への影響(ロングビーチ・ロサンゼルス)

米国ロサンゼルス港およびロングビーチ港の状況

⚫  サンペドロエリア(ロサンゼルス港およびロングビーチ港)での 2021 年 9 月のコンテナ滞留日数は、前月の 5.4 日から 5.94 日 に悪化し、PMSA(太平洋商船協会)が統計を開始した 2016 年 5 月以降最長となりました。コンテナが 5 日以上港に滞留して いる割合も、前月の 28.4%から 32.8%と更に悪化が継続してお り、ターミナル内のコンテナ滞留の主要因となっています。

⚫  両港の 2021 年 9 月の輸入コンテナは 83 万 8,289TEU で、前 年の 87 万 7,412TEU から 3 万 9,123TEU(4.63%)の減少、輸出 は前年の 24 万 2,952TEU から 18 万 6,500TEU と 5 万 6,452TEU (23.24%)の減少でした。輸出については両港ともに減少して います。なお、ロングビーチ港の 2021 年 11 月 11 日の発表に よると、ロングビーチ港の同年 10 月の輸入コンテナは、前年 同期から 80 万 6,603TEU から 2.1%減となる 789,716TEU と、 史上 2 番目の繁忙を記録した 10 月となりました。

⚫  各ターミナルともコンテナを運ぶトラックの列も増える傾向にあり、デマレージやディテンションチャージ等の発生は継続して います。

⚫  両港の沖合の待機船も、11月5日段階で入港待ちとなっている船舶は95隻と、これまでの記録を上回っています。ロサン ゼルス港の Port Optimizer によれば、平均待機時間は 14.6 日と 2 か月前の水準の 2 倍に悪化し、東海岸でも 20 隻余りの コンテナ船がサバンナ沖合で入港待ちとなっています。

⚫  同エリアでの鉄道ランプでのコンテナ滞留の平均日数は前月の8.2日から5.5日と改善傾向が見られています。

 

滞留コンテナへの追徴金課徴を取り巻く状況

⚫  一部ターミナルでは土日のゲートオープンや深夜の時間帯を使っての優先的なコンテナ引き取りなどを荷主に提案したも のの、トラックのドライバー不足等もあり、思うような成果にはつながりませんでした。平常時のターミナルでのコンテナ滞留 期間は 4 日未満でしたが、現在は全体の約 40%が 9 日以上留め置かれている状況が継続していました。

⚫  この状況を受け、カリフォルニア港湾当局は2021年10月28日、両港で滞留するコンテナへの新しい追徴金ルールを2021年 11 月 1 日から導入することとし、徴収された追徴金を港の混雑解消に向けた対策に使用する予定であることを発表しま した。

⚫  トラック輸送コンテナは9日以上、鉄道輸送コンテナは6日以上の遅延に対し、海上運送人に月締請求で適用されるとする ルールです。

⚫  当初11月15日より徴収予定でしたが、改善の兆しが見られたことから、同日、両港当局より「徴収開始日を11月22日ま で延期する」旨発表がありました。今後も港湾当局側で混雑緩和状況を注視していく予定です。