世界貿易量、2023年には1%増に、WTO発表

WTOは世界貿易見通しを発表 し、2022年の世界貿易量(輸出入平均) は前年比で3.5%増と、4月の予測(3.0% 増)から上方修正した。2023年は1.0%の増加にとどまるとの見通しを示し、4月の予測(3.4%増)から大幅な下方修正となった。

2022年の輸出量の伸び(予測値)を地域別にみると、中東で14.6%増と最も高く、 次いでアフリカ(同6.0%増)が力強い回復を示す。これらの地域では2023年の輸出はマイナスが予測されているが、輸入は堅調に推移するとみられる。そのほか、北米(同3.4%増)、アジア(同2.9%増)、 欧州(同1.8%増)、南米(同1.6%増)は 前年から伸び率が鈍化しており、CISは同 5.8減とマイナスに転じている。

要因として、欧州では、ロシアのウクラ イナ侵攻を受けたエネルギー価格の高騰が 家計支出を圧迫し、さらに製造コストを上 昇させていること、米国では、金融引き締め政策による支出の抑制、中国はゼロコロ ナ政策や、外需の低迷と相まった生産の混 乱などを挙げた。

主要国の7月までの月次データから世界のサービス貿易(輸出)をみると、旅行や 輸送は新型コロナウイルスのパンデミック 関連の規制が緩和されたことから、多くの 国・地域で回復した。一方、中国はゼロコ ロナ政策により、旅行で21%のマイナス (前年同期比)となっている。

WTOのンゴジ・オコンジョ=イウェアラ事務局長は「政策立案者はインフレ対策や雇用維持、さらにはクリーンエネルギー への移行といった重要な政策目標のはざま で、最適なバランスを見つけるという困難な選択を迫られている」と述べた。また、 パンデミック以降導入された暫定的な貿易 制限措置について、「グローバルサプライ チェーンの縮小はインフレ圧力を高め、長 期的には経済成長の鈍化と生活水準の低下 につながる」と指摘した。