4月の米国小売輸入コンテナ9.6%増 追加関税猶予で輸入ピークはさらに前倒しに

 

米国小売業協会(NRF)と調査会社、Hacket Associatesが主要コンテナ港のデータを基に小売業向け荷動きを6カ月先まで予測するGlobal Port Trackerの最新レポートによると、米国政府が中国からの輸入品への追加関税措置を90日間延期したことにより、現在米国向けの小売り商品の輸入は、猶予期間中の輸入を図るため、今後夏季にかけてピークを迎えるという。
 小売業者は高関税の発動で商品の発注を一時控えていたが、猶予措置の発表と同時に、8月12日の期限までに少しでも多くの商品を輸入するため発注を再開している。
 また他の国々を対象とした関税措置も7月9日まで猶予期間となっており、NRFの関係者は米国政府に対し、貿易交渉を継続し、サプライチェーンの安定性と予測可能性を確保するよう求めている。
 関税発動で5月は輸入量が急減したものの、猶予措置によりホリデーシーズン向け商品の輸入ピークは例年より早期に訪れることになるとし、このまま関税が予定通り猶予期間後に発動となれば、今後の9~12月は輸入量が大幅に減少すると見ている。
 4月の小売輸入コンテナ実績は、3月比で2.9%増、前年同月比9.6%増の221万TEUだった。
 6カ月予測では、5月が、関税発動により8.1%減の191万TEUと2ケタの落込みとなり、前月比では13.4%も減少すると見ている。予測通りになれば2023年9月以来の前年割れで、2023年12月の187万TEUに次ぐ低水準になるという。
 6月は輸入量が回復するも、前年を下回る水準で6.2%減の2021万TEU、7月は8.1%減の213万TEU、8月は14.7%減の198万TEUで、その後さらに急減し9月が21.8%減の178万TEU、10月も19.8%減の180万TEUに落ち込むと見られる。
 25年上半期は前年同期比3.7%増の1,254TEUと関税一時猶予の発表前よりは好転したが、関税政策の発表前の予測値1,278万TEUは下まわることになった。