分析輸送見積もりをワンストップのオンラインサービスで提供しているFreightos(香港)が13日に発表した先週のFreightos Baltic Index(FBX)と呼ぶ世界の主要12航路におけるコンテナ運賃指数の総合指数は2,047と前週比1.6%上昇、前年同期比では20.0%の下落だった。アジア発北米西岸向け(FBX01 Weekly)は3%上昇し2,395ドル/FEU、アジア発北米東岸向け(FBX03 Weekly)は1%上昇し3,406ドル/FEU、アジア発北欧州向けも6%上昇し2,398ドル/FEUとなったが、アジア発地中海向けは3%下落し2,939ドル/FEUだった。
また、航空貨物運賃指数のFreightos Air Indexは、中国発北米向けが横ばいの5.28ドル/kg、中国発北欧向けは1%下落し3.51ドル/kg、北欧州発北米向けは1%下落し1.89ドル/kgだった。
Freightosの分析によると、米中両政府は、双方が4月に導入した関税を90日間猶予すると発表、5月14日から、米国は中国に対する相互関税を125%から10%に引き下げる。2月に導入された10%の関税引き上げと、3月に再び導入された中国からのフェンタニルの流入を対象とした関税引き上げを合わせると、新たなベースラインは、すべての中国の対米輸出品に対する最低関税30%となる。トランプ大統領が今年就任する前にすでに関税がかけられていた商品も、同様に追加関税の対象となる。一方、中国は4月の米国輸出品に対する報復関税を125%から10%に引き下げ、当事国は3ヶ月の休止期間中、新たな合意に向けた協議と交渉の継続を約束した。
この結果、すべての中国製品に対する30%の最低関税は、トランプ第1次政権時代に、より限定された商品リストに適用された最高関税よりも高くなるが、米小売業協会(NRF)のデータによると、3月に全ての中国製品に対する最低20%の関税に直面した際にも、米国の輸入業者はさらなる高関税の見通しを前に在庫の前倒しを続け、3月と4月の輸入量は2024年を11%上回り、4月は記録的な高水準となったが、その一部はベトナムやタイなど中国以外の国からのものだった。
145%の関税は、4月上旬以来、中国~米国間の荷動きを35%以上減少させたため、荷主がこの1カ月で底をつき始めたかもしれない在庫を補充し、多くの中国メーカーがすでに高水準の完成品を出荷準備していることから、短期的には大幅な需要回復が見込まれる。
高関税水準に戻る可能性のある期限が8月に迫っていることから、短期的な海上需要の回復は、さらなる前倒し出荷の開始を意味する可能性も高く、仮にそうなら、今年のピークシーズンが早く始まることになり、同じ理由で例年より早く終わる可能性もある。
しかし、中国との関係が緩和されたとしても、今年の太平洋航路のピークシーズンの強さは、まだ議論の余地があり、専門家の中には、中国製品への関税が20%であれば太平洋航路の需要は旺盛であったとしても、30%レベルでは荷主によっては抑止力になりかねないという意見もあり、また、荷主はすでにすべての前出し出荷を終えており、ピークシーズンの需要の一部はすでに移動している可能性がある。
コンテナ運賃は、4月以降、中国~米国間の物量が急減したにもかかわらず、太平洋航路の運賃は西海岸向け約2,300ドル/FEU、東岸向け約3,400ドル/FEUと、ほぼ横ばいで推移、これは船社が欠便やサービス休止、こ小型船への代替により、輸送能力を推定22%削減したためだ。
船社は4月から5月にかけての休止期間中に、太平洋航路の余剰船腹と船腹の一部を他の航路にシフトさせたが、ここ数週間の減便は、近い将来、米国から中国に戻る空コンが通常より少なくなることを意味する。そのため、需要が急回復した場合、荷主は、物量が回復し、コンテナ船やコンテナ機器がまだ所定の位置に戻されていないため、船腹がひっ迫し、コンテナが不足する期間に直面する可能性がある。また、迅速な再開は、数週間後に米国の港に到着する船舶やコンテナの数量が大幅に増加することを意味し、これらを総合すると、荷主は今後数週間、港湾スペースの確保が困難になり、仕出し地と米国の仕向け地の双方で混雑や遅延が発生する可能性がある。しかし、これがピークシーズンの始まりであったとしても、最初の滞貨と不均衡が解消されれば、この混雑は収まるだろう。
こうした季節的な需要が早期に訪れ、また、短期的な船腹抑制の可能性もあるため、スポット運賃は間もなく上昇するはずだが、紅海危機による迂回がまだ実施されているとしても、船腹増加や新アライアンス間の競争激化により、運賃はすでに1年前より30%以上低くなっており、今後数カ月は需要が回復する可能性はあるが、上記の理由で急増することはないため、ピークシーズンの運賃は、西岸向けで8,000ドル/FEU、東岸向けで9,800ドル/FEUを超えた昨年のピークほどは上昇しないかもしれないといいう。