新型コロナウイルスによる物流への影響 5/8時点

各地における物流への影響

現時点で確認された各地における物流の影響は以下のとおりです。

アメリカ

【ロサンゼルス港・ロングビーチ港】 ・コンテナ船の入港が激減した影響で、各ターミナルではゲートオープンの時間が制限 されています。またロサンゼルス港では、通常の 80%程度の稼働率でオペレーションを 継続しています。

【ジャクソンビル港・マイアミ港・カナヴェラル港】 ・事務所はクローズとなっていますが、オペレーションは継続しています。

【サバンナ港】 ・毎週土曜日トラックドライバーのオペレーションを中止することを発表しました。 ・港湾施設の稼働スケジュールについても週 5~6 日へ短縮し、トラックの稼働時間 も削減するとしています。

【バージニア港】
・物流量の減少に伴い、5 月 4 日より Portsmouth Marine Terminal をクロー ズして、Virginia International Gateway (VIG) と Norfolk International Terminals (NIT)においては、同日よりゲートオープン時間を 1 時間短縮しオペレ ーションを継続する旨発表しています。

【ニューヨーク州】 ・緊急事態宣言発表以降、店舗での盗難事件が多発しています。中でも現金を取 り扱うスーパーマーケットの夜間閉店中の強盗が増加しています。

中国

・1 月に武漢がロックダウンとなってから約 11 週間後の 3 月 28 日に中欧班列の運 行が再開しました。医薬品や自動車部品、電子機器や通信機器が積載され、ドイツ、 フランス、ハンガリー、チェコ、ポーランドへ輸送される予定です。今後は武漢発が週2 回、欧州発が週 1 回運行予定です。 ・山東省から欧州各地に向かう代替郵便輸送ルートの運用が開始されました。青島市 の郵便局からコンテナトレーラーで発送された郵便物は、浙江省義鳥市で国際貨物列 車に積み込まれ、13 日後ポーランドに到達し欧州各地へ配送される予定です。

インドネシア

・国内の航空貨物輸送の増加により、積み替えが行われる地方の拠点空港で貨物の 滞留が発生生始めています。東部地域へ輸送する貨物機が不足しており、南スラウェシ 州マカッサルのスルタン・ハサヌディン空港や東ジャワ州スラバヤのジュアンダ空港、首都ジ ャカルタ郊外のスカルノ・ハッタ国際空港で滞留が生じています。 ・国鉄では米や果物・野菜などの生鮮食料品を含む小売品の鉄道輸送を開始しまし た。鉄道の旅客数減少に伴い貨物輸送事業を強化しており、ジャワ島内 60 駅に設 置した窓口で小売品の持ち込みと受け取りが可能になります。

フィリピン

・マニラ首都圏を含むルソン島全域のロックダウンを 5 月 15 日まで再延長となりました。 ・ルソン島全域で実施されている外出・移動制限の中でも、マニラ南港・バタンガス港の コンテナターミナルはそれぞれ稼働率 70%・50%で運営されています。

マレーシア

・マレーシア運輸省は 28 日、活動制限令「フェーズ4」(4 月 29 日~5 月 12 日) で国内すべての港湾の操業を正常化すると発表しました。貿易産業省から操業許可を 得た企業による輸出入のみが対象となり、港湾は必需品以外を含む輸出入で 24 時 間操業が可能となりました。 ・マレーシアでは、主要港に保管されていた輸入貨物などの輸送が開始され港湾の混雑 が緩和されつつありますが、加工工場が一部操業していないほか、完成品の輸出が滞っ ていることで、国内倉庫の収容能力が限界に近づいています。運輸省はこれまで 4 回 にわたり貨物の引取りを求めていますが、活動制限令により全面的な操業が認められて いない自動車・建設関連企業向けの原材料保管が増加し続けており、コンテナの積み 残しに繋がっています。

日本

・東京港では、3 月後半頃から中国発着の貨物量が回復してきており、通常並みの混 雑が発生しています。
・3 月のアジア 18 か国発米国向け往航コンテナ貨物輸送量は、前年同月比 16%減 の 102.6 万 TEU となりました。(米国側では 3 月中旬から開始された外出禁止令に より、荷主が貨物を引き取れなくなり、コンテナが港に置かれたままになっているケースが 発生しています。)

・緊急事態宣言が発令されてから約 3 週間が経過しましたが、主要港ではコンテナヤー ドからの輸入貨物搬出の混乱等は生じていません。

ブラジル

・サンパウロ市とリオデジャネイロ市は、生活に必要不可欠な商業・サービス以外のすべての施設 を閉鎖する感染拡大防止措置を延長すると発表しました。また、サンパウロ市では、感染者数 が増加しているエリアなどで道路封鎖が行われます(貨物輸送トラックは通行可能です)。

インド

・インドでは 2 度目のロックダウン延長が発表され、5 月 17 日までとなりました。各地区をゾーン (レッドゾーン・グリーンゾーン・オレンジゾーン)分けし、ゾーンにより許可する活動レベルが決ま ります。グリーンゾーン、オレンジゾーンでは工場の操業再開が認められていますが、サプライチェ ーンが稼働していないため段階的な再開となっています。ムンバイやアーメダバード、ニューデリ ー、チェンナイの工業団地の操業は一定条件下で認められています。 ・港湾での荷動きの状況は改善傾向になりますが、デマレージの免除が継続しているためコンサ イニーの貨物引取りが速やかに行われない状況が続いています。 ・ロックダウンが解除となると感染者数が増加する可能性があり、工場等では従業員の陽性が 確認された場合には稼働を全て停止し消毒し、他の従業員の検査を実施する必要があり、多 大なコストが生じる可能性があるため、段階的な操業再開となる見込みです。

イタリア

・イタリアでは 5 月 4 日から封鎖措置の段階的な緩和が始まりました。身内の訪問や飲食店の 持ち帰りサービスが解禁され、工場や建設現場は作業を再開しました。

スペイン

・スペイン下院は非常事態宣言を 2 週間延長し、5 月 24 日まで延長する案を承認する見通 しです。

ドイツ

・ドイツ政府と連邦 16 州は、新型コロナウイルス対策の封鎖措置を緩和する計画で合意しまし た。全ての焦点の営業再開を許可し、学校も段階的に再開する予定です。衛生基準や社会 的距離に関するルールは 6 月 5 日まで継続となります。

オーストラリア

・クイーンズランド州と西オーストラリア州では、5 月 1 日より行動制限措置が一部緩和されまし た。クイーンズランド州では必要不可欠なもの以外の買い物などのレクリエーション目的の行動が 可能になりました。